WORLD -8-
2013年09月15日 11:56
翌日は学校の帰りに事務所に寄った。
「失礼します。」
昨日と同様にドアをノックする。
「はい。…っと。錬君ね。」
出てきたのは中島さんだった。昨日とは明らかに印象が違う。
全く気付かなかった。あれは演技だったのだろうか。
「どっちも俺だよ。」
見透かしたようにそんなことを言う。
「…そうですか。」
「ああ。」
短い返事の後、事務所内に案内される。
「今後の事だけど、」
椅子に座ると、中島さんは切り出した。
「在学中はボランティアみたいな感じで、色々手伝ってもらうことになるかもしれない。所謂雑用なんだけど。」
「ええ。問題ないです。」
「その後の事はそれから決める。それでいいかな。」
「分かりました。」
結局、言われたのはそれだけだった。必要なときには連絡する。今は学校生活を楽しんでくれれば良い。そういうことらしい。ある程度想定していた事ではあったがどこか複雑な心境だった。
ベッドの上、天井を眺めて少女と考える。
何故俺は生きているのか。こんな事をしていると忘れそうになる。
忘れてしまったら、俺はどうなってしまうのか――。
その喜びは、既に描かれている。
それは私の描く処ではない。
それは真実である。
しかして、それは真理ではない。