WORLD -8-

翌日は学校の帰りに事務所に寄った。

「失礼します。」

昨日と同様にドアをノックする。

「はい。…っと。錬君ね。」

出てきたのは中島さんだった。昨日とは明らかに印象が違う。

全く気付かなかった。あれは演技だったのだろうか。

「どっちも俺だよ。」

見透かしたようにそんなことを言う。

「…そうですか。」

「ああ。」

短い返事の後、事務所内に案内される。

 

「今後の事だけど、」

椅子に座ると、中島さんは切り出した。

「在学中はボランティアみたいな感じで、色々手伝ってもらうことになるかもしれない。所謂雑用なんだけど。」

「ええ。問題ないです。」

「その後の事はそれから決める。それでいいかな。」

「分かりました。」

 

 

 

結局、言われたのはそれだけだった。必要なときには連絡する。今は学校生活を楽しんでくれれば良い。そういうことらしい。ある程度想定していた事ではあったがどこか複雑な心境だった。

 

ベッドの上、天井を眺めて少女と考える。

 

何故俺は生きているのか。こんな事をしていると忘れそうになる。

忘れてしまったら、俺はどうなってしまうのか――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その喜びは、既に描かれている。

それは私の描く処ではない。

それは真実である。

しかして、それは真理ではない。