山ケ野竜也はごく普通の家庭に生まれた。
父親はサラリーマン、母は専業主婦のありふれた家庭だ。彼は両親からそれなりの愛情を注がれていたと自覚している。一人っ子で少し甘やかされもしたかもしれないが、その愛に溺れてしまうことは無かった。それは彼の気質がそうさせたのかもしれない。
小学生になると、彼はたくさんの友達を作った。誰とでも良く遊び、慣れ親しんだ。他より小さかったけど、ケンカも強かった。彼がいれば理不尽なんて起きなかった。彼がそれを許さなかったし、何よりみんなの事が好きだったから。みんなの良さを知っていたから。
彼はみんなの為に生きていた。
中学に入ると、彼はいじめにあった。
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2013年10月06日 10:31
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「次の予定は?」
「十二時十分から経団連会長との食事会、十二時三十分から厚生省の査察。五時から国際フォーラムで演説会があります。」
「…食事会は十分遅れようか。」
「分かりました。」
「……なかなか様になってきたじゃないか。」
彼は言う。
視界の隅、バックミラー越しに表情が窺える。満足気だった。気分良さ気に外を眺める。
「私の目に間違いは無かった。そうだろう?」
それが俺に向けられているものだと自覚する。
「どうでしょうか。」
「ふふ…お前はそれで良い。」
相変わらず外を眺めたまま、彼は笑う。
四年が経った。
あれから四年、俺は田所健二の私設秘書として今まで働いている。その後の学
2013年09月22日 08:41
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3.
テストが終わった。午前中で終了した学校、昇降口から出たところだった。
「――先輩っ!」
明るい音が聞こえた。それが自分に向けられていることが分かった。眩しいくらいの笑顔がこちらに向かってくる。
「ああ…。」
「ああ…じゃないですよっ!先輩、今日は部活来るんですか?」
「ん…ああ。」
「そうですか!良かったです!」
嬉しそうな顔が隣に並ぶ。
「先輩はテストどうでした?」
「まあまあだったと思う。」
「私、今回は自信あるんですよ?」
彼女は意気揚々に告げる。
口元をなぞる。相変わらず元気な子だ。見ているこちらまで明るくさせる、そんなものを新田千穂は持
2013年09月15日 12:13
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翌日は学校の帰りに事務所に寄った。
「失礼します。」
昨日と同様にドアをノックする。
「はい。…っと。錬君ね。」
出てきたのは中島さんだった。昨日とは明らかに印象が違う。
全く気付かなかった。あれは演技だったのだろうか。
「どっちも俺だよ。」
見透かしたようにそんなことを言う。
「…そうですか。」
「ああ。」
短い返事の後、事務所内に案内される。
「今後の事だけど、」
椅子に座ると、中島さんは切り出した。
「在学中はボランティアみたいな感じで、色々手伝ってもらうことになるかもしれない。所謂雑用なんだけど。」
「ええ。問題ないです。」
「その後の事はそれから決める。それでいいかな。
2013年09月15日 11:56
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悪魔というのは聖書を目にする、またはその内容を読んで聞かせるともがき苦しむという。
欧米にいるエクソシストという悪魔祓いの専門家たちは、人に取りついた悪魔を払うため、まず聖書を読んで聞かせて弱らせるらしい。
悪魔は何故、聖書を嫌うのか――。
聖書には世の真理が書いてあるからだ。そういう見解もあるらしい。実際にどうなのかは解らない。今では多くが改変され、その内容は原初とは程遠いものになっている。
――ただ、仮にそれが本当だとすれば、悪魔は何を恐れるのだろう。一体、何が彼らを苦しめるのだろうか。
自宅に戻ると、相変
2013年09月08日 08:12
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自宅に着くと夕飯の支度をする。自宅に着いた時には9時をとっくに回っていた。
「…いただきます。」
自らの作った料理を頂く。
叔父さんが帰ってきたのは11時過ぎだった。自分の部屋へ帰ろうとすると、玄関からガチャリと音がした。
「おお。ただいま。」
少し驚いたあと、顔が和らぐ。
「お帰りなさい。今日は遅かったですね。」
「ふう。ラスト一週間だからね。」
ネクタイを緩め、大きく息を吐く。
「来週まではもう少し遅くなるかもしれないよ。」
「分かりました。おやすみなさい。」
「ん。おやすみ。」
短い会話を終え、部屋へと向かった。
休日の朝、目を覚
2013年09月01日 12:27
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3.
テストが終わった。午前中で終了した学校、昇降口から出たところだった。
「――先輩っ!」
明るい音が聞こえた。それが自分に向けられていることが分かった。眩しいくらいの笑顔がこちらに向かってくる。
「ああ…。」
「ああ…じゃないですよっ!先輩、今日は部活来るんですか?」
「ん…ああ。」
「そうですか!良かったです!」
嬉しそうな顔が隣に並ぶ。
「先輩はテストどうでした?」
「まあまあだったと思う。」
「私、今回は自信あるんですよ?」
彼女は意気揚々に告げる。
口元をなぞる。相変わらず元気な子だ。見ているこちらまで明るくさせる、そんなものを新田千穂は持
2013年08月25日 04:57
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自宅に帰って一息、台所で水を飲む。
……やりたい事、か。
大学に行ってまでやりたいことが俺には無かった。神について、世界についてなんて学びに行こうとは思わなかったし、何より自分で考えなければ意味がないと思っていた。それに大学なんて初めから論外だった。
自室に戻り、ベッドに横たわり目を閉じる。少女も同じく隣に寝転ぶのが解る。
「――――――――。」
「――――――――。」
彼女の頭を撫でた。
驚いた。目を開けると、彼女はいつも通り何を考えてるの
2013年08月18日 06:01
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